責任と権限

私の仕事はシステム開発で、某掲示板では「IT土方」なんて言われることもある。

それは否定しないけれども、就職した頃と比べたら環境はずいぶん改善された。

昔は深夜残業と気合いがある意味技術よりものを言う世界だった気がする。

もうあんまり覚えていないし、思い出したくもない。

 

自分の立場以上のことを社内で求められ、頑張れば頑張るほど顧客からはお前ごとき若いおねーちゃんがフフンみたいな叩かれ方をしてたなー。

いまなら顧客の気持ちが分かる。

権限を持たない若者には何かあった時に責任を取れとは言えないし、言ったところで責任を取ってもらえないのは火を見るより明らかだ。

ま、責められるべきは当時の社内体制なんじゃないですかね。

人を責めても仕方がない。

 

そんな思い出から10年ほど経った時のこと。

別会社へ移っていた私はとあるプロジェクトでチームリーダー役を引き受けた。

育児時短で残業できないから迷惑になりやしませんか?と当時の上司に恐る恐る訊いた。

この職業、上に立つからには現場にいること自体が意味を持つ。

メンバーが困った時に対処できないリーダーなんているのかな?と思っていた。

 

いる時間でどれだけ濃い仕事をできるか。 

自分がいない間にメンバーの手を止めないよう手を打てるか。

そこを考えて欲しい。

時短勤務でもやれるんだ、と自信を持ってもらいたい。

 

びっくりしたね。

子供を理由にしていた遠慮なんて、本当は要らなかったんだ。

子育て以外に病気や家族の介護で休んだり時短したりなんて、今はこの業界でもザラになった。

おまけに昔からのブラックなイメージで万年人手不足。

だから縮こまっている場合じゃない。

 

ちゃんと責任に見合う権限を貰って、そのプロジェクトを勤め上げた。

上司たちやメンバーたちにも恵まれて、なんだかんだで成功を収め後続プロジェクトへ繋がった。

時短勤務かよ(チッ)みたいな人もいなくて助かった。

すごくホッとした。

言えなかったり言わなかったりかも知れないけど、心折れずに頑張れたもの。

 

それに、これからも頑張ってみようと思えた。

それが何より大事な収穫だと思っている。