リハビリ
使わない技術は錆びるのですよ。
それが母国語であっても。
娘が生まれてから大人と話す機会が極端に減り、うまく話すことができなくなった時期がある。
夫はいわゆる激務というやつで、ぼっち育児をキメていた私の話し相手は宇宙語すらままならない娘。
娘の寝かしつけで抱っこ紐でゆらゆらしながら音を消したテレビでRPGをやり込み、彼女が寝ている間はテレ朝刑事ドラマの再放送を観ていた。
おかげで読むこと聞くことは問題なかった。
そう、inputは問題ない。
ダメになったのはoutputだ。
話す、書く以前に、頭の中で文を組み立てるというステップがある。
産卵後の鮭さながらの思考力でのリハビリはかなり苦労した。
復職直後にロジカルライティングの研修を受けたくらいである。
三十路超えてたのに。
さて、それから数年後。
息子を産んだ時には娘という話相手がいた。
それに保育園の送り迎えで先生や他の保護者と毎日話せた。
話すことに関して、能力は前回ほどは落ちなかった。
今の喋り倒す業務に就いてから一気に口が回るようになり、子なし時代よりも話すことが上達したくらいだったりするのだが。
だが、書くことについては、そうはいかない。
書き続けなければ文章力は低下する。
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上記の文を書いて2年経ってしまった。
今も職場は変わっておらず、毎日喋り倒しメールを書きまくり、人が作ったドキュメントをレビューし、時には作業もこなし…と、相変わらずどたばたと毎日を過ごしている。
毎日の仕事と保育園の連絡帳で、文章力はまあまあキープされている。